エジソンの思考術

 斉藤茂太(精神科医・斉藤茂吉の長男・作家 北杜夫の兄)

わたしの好きな話に、エジソンが電気のフィラメントになる素材を発見するに至ったエピソードがあります。彼は電気のプラスとマイナスに、何をつなげれば光を発するかを求めて、その辺にあるものを片っ端から実験していった。
人間の髪の毛、こより、自分が食べ残したチーズ、あらゆるものを実験し、その数は3.000種類にも及んだが、いい結果は得られなかった。
友人が見かねて、「もう3.000回も実験したから気が済んだろう。そろそろ諦めたらどうだ。」と言った時エジソンは「バカを言うな。世の中に物質は5.500種類あると聞いている。私はそのうち、3.000の物質をすでに実験した。残りは2.500、成功は、もう目の前まで来ている。」と言った。
このエジソンの根気のおかげで、我々は電気という恩恵に浴している。(略)

精神の病気の最悪の状態は、根気をなくす事です。